1.准尉・空曹・ 空士の人事業務 と上下の期待
西部航空方面隊司令部勤務になるまでは、主として群レベルの幕僚勤務であった。その職務は、中部航空警戒管制団の整備補給群本部総務人事班長1年6月、基地業務群本部人事班長2年及び団司令部での若干の経験、次いで、長官直轄部隊の教導高射隊本部総務班長4月の勤務経験を有していたので、現場部隊の人事業務についてはそれなりの知識経験を積んでいた。そして、現場で直面した課題の解決や施策の実行に、上級司令部でいつの日か参画したいと考えていた。
人事幹部の配置に就く前に、要撃管制幹部として、第一線の警戒監視・要撃管制任務に就き、かつ群本部の運用班長2年を勤務したことから作戦運用面についての知識経験を有していた。更に団司令部副官という職務にも就いたことから一般の人事幹部からすれば異色の経歴であった。これらのことが、方面隊司令部人事幕僚としての活動に役立ってきた。
一般から見ると部内幹候出身者で指揮幕僚課程を卒業してきたというので、実力以上に多少買いかぶられる面があったが、担当職務を遂行する上では非常にやり易かったことが印象に残っている。人事部内においては、業務処理するにあたって、予想以上に上下の期待と信頼があったように記憶している。
従って、その期待に応えるべく鋭意精進努力することになった。このことにより一層幕僚業務の内容が充実するようになったようだ。ふり返ってみると全般的に見てプラスに働く要素が大きかったように感じている。
2.何でも人事部門の代表として参画
第21期cs修了者から西空司への配属は1名であったが、毎年各期から1名程度は配置されていた。こうしたことから特別な課題を与えられて、若手幕僚が中心となった次期防など新しい取り組みの研究会・検討会的なものには、常に人事部の代表として参画する機会が与えられた。また、司令官へのブリ-フングなども人事部門を代表して担当することが多かった。
要するに、幹部学校でたてなので、厳しい修練の場へ投入して、あらゆる場面で積極的に鍛えてくれたわけである。ありがたいことであった。これはその後の上級司令部においても同様であった。
3.総合演習等における人事幕僚の活動
有事における方面隊司令部活動は、どちらかというと初級幹部の段階で作戦運用部門を多少でも経験したことから人事幕僚としては得意な分野であった。積極的に作戦運用幕僚と調整して、人事見積、人的戦力に関わる諸計画を作成した。
その点では、その後の飛行教育集団司令部、航空総隊司令部勤務においても人事幕僚として、積極的に関与することができた。後年、教官として総務・人事・要務教育の現場責任者となった折は、こうした経験から学生に指揮官の補佐と部隊・作戦運用に積極的に関わるよう陣頭に立って教育に努めた。
したがって、私にとって方面隊司令部勤務は人事幕僚としての修練に極めて有意義であった。さらには、幕僚の手足となって補佐してくれる准尉及び上級空曹との良好な関係、一体となった業務処理の仕方、優れた資質能力の活用など学ぶところが多かった。
4.3等空佐への昇任と役割の自覚
昭和48年7月、指揮幕僚課程修了後、西部航空方面隊司令部部へ勤務して1年たった49年7月3等空佐へ昇任した。1等空尉の昇任が昭和44年7月であるので、5年の在職期間を経たことになる。
昇任は基本的に人事評価に基づくものである。経歴管理の人事方針もある。部内幹候出身者の私の場合、2尉~1佐への昇任は、昇任に要する在職期間の1.5~2倍であった。3佐への昇任だけは意外に早い昇任であったといえる。
昇任については、部内幹候に進んだ時から特別の関心もなく、後輩幹候期に追い越されても気に留めることはなかった。実力を蓄え、発揮することに専念し、ある面では達観していたといえる。
だだ、自分の考え抱いている命題、人事施策などを実現・実行したり、その事業に参画するにはそれなりの階級と職務につかなければ単なる夢に終わってしまうことになる。そのような観点から3佐への昇任は、将来の自分の役割を一層自覚することになった。
自衛隊法
(昭和二十九年六月九日法律第百六十五号)の抜粋
自衛隊法施行規則
(昭和二十九年六月三十日総理府令第四十号)の抜粋
階級 | 昇任に要する在職期間 | 階級 | 昇任に要する在職期間 |
陸将補 海将補 空将補 |
三年 | 一等陸曹 一等海曹 一等空曹 |
二年 |
一等陸佐 一等海佐 一等空佐 |
六年 | 二等陸曹 二等海曹 二等空曹 |
二年 |
二等陸佐 二等海佐 二等空佐 |
四年 | 三等陸曹 三等海曹 三等空曹 |
二年 |
三等陸佐 三等海佐 三等空佐 |
三年 | 陸士長 海士長 空士長 |
二年 |
一等陸尉 一等海尉 一等空尉 |
五年 | 一等陸士 一等海士 一等空士 |
一年 |
二等陸尉 二等海尉 二等空尉 |
三年 | 二等陸士 二等海士 二等空士 |
六月 |
三等陸尉 三等海尉 三等空尉 |
二年 | ||
陸曹長 海曹長 空曹長 |
二年 |