1.使いこなす、まとめる能力の練磨
校外研修で強く印象に残ったのは、研究所における研究開発の現状と将来展望、原子力発電全般と原子力船むつの研修、造船・ドックなどであった。普段目に触れることのできない分野について現場で研修できたことであった。その後、その動向について関心が深まった。
研修を通じて感じたことは、一人の人間が多くを学び知ることは限界がある。世の中には多くの未知の分野があることを認識する機会でもあった。しかし、恐れることはない大局を見る識別眼、洞察力、包容力と活用力があれば専門家の力を借りることができ、正しい判断・決断をができることに繋がるからだ。
自衛隊の組織と活動もしかり、司令部活動は、各分野の専門の担当幕僚から成り立っている。一つの職場でも同じである。職域・特技の異なる構成員の持てる能力をいかに引き出し発揮させ、目的・目標を達成するかにかかっている。職位の大小を問わず、指揮官としてどのようつかいこなし、まとめていくのかを考え、学ぶ研修でもあった。
それは「指揮官道」といってよいかもしれない。
2.一年間学生同期として交わったもの
張りつめた空気の中で連日の課題作業・発表・まとめを繰り返していると、他を顧みるよりも自分のことで精いっぱいとなることがある。厳しい課題に取り組んでくたくたになった後に、校外研修がうまく取り込まれていて充電する役割も果たしていた。
校外研修は、主要な研修項目を当然こなすことになるが、精神的には解放感があり、余裕が生まれてくる。旅行間に教室とは異なった学生相互の人間交流ができたことである。
特に、私の場合は、出身期別の異なる多くの学生同期と交わり、「自分を知ってもらった」ことと同時に「相手を知った」ことであった。その精神的な支えは強大なものであった。同色ではなく色合いの異なった人脈が広がり、その後の自衛隊勤務で活かされることになった。
《 校外研修の移動は、輸送機c-46であった。人員輸送も荷物と混在であった。》
《 北部方面の研修では、北部航空方面隊司令部、北部航空警戒管制団司令部をはじめ大湊サイト等研修をした。三沢基地では米軍の将校クラブで湯野川守正将補を囲んで歓談をした。》
《 陸上自衛隊西部方面総監部 》