昭和の航空自衛隊の思い出(159) 指揮幕僚課程における校外研修

 1.国力の根源たる基幹産業の研修

    基幹産業とは、一国の経済活動の基盤となる重要な産業。一般に鉄鋼・エネルギー・自動車産業や電子工業などをさすが、経済の発展段階によってその内容は異なるといわれている。鉄道,海運業などを含める場合もある。

 時代の進展によって変化があるであろうが、入校当時は鉄鋼・原子力発電・造船などを研修した。現場を見ることによって日本の国力の骨幹をなす基幹産業の実情の一端に触れることができた。

 中学生時代からテ-マを決めて新聞の切り抜きをはじめた。自衛隊入隊後もある時期から再開したものだ。そのテ-マの中に基幹産業を加えて動向を把握することに努めた。こうしたことの積み重ねによって自分なりの判断基準を持つことができたようだ。

 校外研修にあたっては、事前に関連分野の第一人者や専門家などの講義を聞いたり、課題研究、事例研究を行ったりしているので、現場に行って理解を深めることができた。私にとって、校外研修はいろいろなことに関心を持ち継続的に考察する機会を与えてくれた。

 研修の途上で観光地を訪れることもあるが、社会見聞や観光的視点だけではなく兵用地誌、軍事的な視点等様々な観点から見学していくと興味尽きなく研修を楽しくしてくれたものだった。

 

2.校外研修における独特の着眼

 校外研修では内部及び民間を問わず様々な個所で研修をしたが、本来の研修のほか、次の二つのことに大きな関心を持って観察した。

 一つは、どんな立場のどんな職位のものががどんな内容をどのように説明するのか非常に興味があった。その中でも、相手に対応した説明要領はどうであるかに着目した。分かり易く、かつ簡潔明瞭にして的確なものであったかどうかであった。図表・ポンチ絵の活用にも関心があった。

 それは課程卒業後の各級司令部勤務において、幕僚として指揮官等に対して報告説明する機会が多くなるからであった。特に、空将司令官の方面隊司令部級においては、ブリ-フィングを担当することが予測されたので、最も適切な説明要領はいかにあるべきかが常に頭の中を離れず、そのコツを学び取りたいと思っていたからであった。

 実際に卒業後、各級の司令部に勤務し、その役割を担当するようになってみて、研修間における着眼は間違いでなかったことを確信したものである。

 二つ目は、総務幹部の立場から対内外広報について関心を持っていた。当時昭和40年代は官民を問わず広報の重要性が叫ばれながら今日のように報道官、マスメディアの活用など充実した体制には至っていなかった。

 軍事組織における広報と精強性の関係について関心を持っていたのでひそかにその視点から観察した。これらは後年、術科学校の総務人事教育の担当科長になったとき、役立つことになった。 

 

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 《 研修の移動は、主として輸送機の定期便を利用していた。》

 

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 《 飛行部隊研修、優秀なパイロット、整備等各種の部門の第一人者である学生がおり、理解を深めることができた。》

 

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《 海上自衛隊護衛艦の研修、陸上は新隊員課程の経験があった。海上自衛隊は要撃管制官当時、海空訓練で護衛艦に乗艦し指揮所で支援したことがあったので、新鮮な感覚で耳を傾けた。 》

 

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 《 前列左から濵田1尉(内23)・山口真道3佐(外21)・竹内聖雄3佐(防4)、 後列左から松沼益雄3佐(防5)・古川和男1尉(防5)・利渉弘章3佐(防4)・斎藤芳信3佐(防4) 》

 

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《 長崎の原爆爆心地、左から石川儀一3佐(外25)・斎藤芳信3佐(防4)・江口則光3佐(防5)・高橋伸治(防6)1尉・佐藤充男1尉(防6)・濵田1尉(内23) 》

 

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《 宿舎にて、権代良夫1佐を囲んで夜の教授、左から濵田1尉(内23)・中村紀夫1尉(航4)・権代1佐・高橋伸治1尉(防6)・永尾和夫1尉(防6)・碓井克典1尉(航4)  》

 

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《 西部方面研修・三角港にて、前列森田忠信1尉(防7)、左から濵田1尉(内23)・斎藤芳信3佐(防4)・大井哲夫3佐(防3)・中村新三郎1尉(防7)・棚橋徳五郎3佐(防3) 》

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《 雲仙、左から中村新三郎1尉(防7)・濵田1尉(内23)・石川儀一3佐(外25)・金子正秀3佐(防3)・藤井保1尉(防7)・棚橋徳五郎3佐(防3)・斎藤芳信3佐(防4)・渡部成隆1尉(防6)・森寛太郎3佐(防3)・菊池文男3佐(防5)・森田忠信1尉(防7) 》

 

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《 楽しそうに語らう左森田忠信1尉(防7)と私 》