航空自衛隊第1期操縦学生(20)  航空学生制度創設60周年記念行事参加の記・懇親会

1.  懐かしの防府

    航空学生制度創設60周年記念行事に出席するため、6月5日~6日にかけて山口県防府の地にいってきた。第1期 操縦学生として入隊してから60年たつが、10年前にも第1期操縦学生入隊50周年同期生会を防府で行った折、航空学生制度創設50周年記念行事 の一部に参加したことがある。
    6月5日朝は9時に自宅を出発、バスに乗って出かけ浜松駅で同期の小林誠君と合流した。新幹線はひかりとのぞみで浜松から徳山まで乗り継いだ。徳山駅下車後は普通電車に乗り換えて防府駅に午後3時ごろ到着した。遥か昔は三田尻駅といっていた。
  徳山からの路線はあいにくの雨であったせいか、風情があり、瀬戸内の静かな海が眺められた。60年前若かり時代を思い浮かべながら車窓の海辺ばかりを眺めていた。当時と瀬戸内の海は変わっていないように見えた。
    防府駅に立って、竜宮城から帰ってきた浦島太郎の如き心境になった。新しい町並みの中にどこか昔のおもかげがないか追いかけた。様相は一変していたが立派な素晴らしい町になっていた。変わらぬ山々を見渡すも山の名前をすぐには出てこなかった。向島・錦山、田島山、天神山・防府天満宮、太平山など早速、観光案内所で地図をもらって確かめることにした。東西南北の方向が頭に入ると安心した。
 防府基地の海岸周辺の三田尻には昔ながらの塩田が展開していた時代であった。今や「三田尻塩田記念産業公園」となっている。

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《 深夜・早朝の非常呼集で向島・鏡山の頂上への駆け足登頂、田島山一周、防府天満宮への駆け足など若い血潮は苦しくても乗り越えることができた思いでの山々である。》
 
2.防府駅頭に立っての感慨
 この防府の地は、かって青春時代に若き血潮を燃やした場所であると思うだけで胸が高鳴った。自分の人生の出発点であるからだ。入隊に当たっては亡くなった父親が同伴してくれて末っ子の私の船出を確かめてくれたことを思い出した。戦後10年にしての航空自衛隊への入隊であっただけに、当時の親父の心境はどんなものであったのかと振り返った。
   戦後初の高校卒業者を対象とした「第1期操縦学生」の競争率38倍の採用試験に合格し、選ばれて大空への夢を描いて意気揚々として第一歩を印した土地だからだ。

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《 6月5日 防府駅前 》

 

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《 6月6日朝の防府駅 》

 

3.コンパクトな快適なホテルルートイン
     宿泊は、「ホテルルートイン防府駅前」とした。今の時代に合った上質な多機能空間を目指したコンパクトで気持ちのよいホテルである。気楽に自由に一人で過ごせるのが一番だ。本記念行事のために全国から航空学生出身者の各期代表が大挙押し寄せたから再会の喜びの声が方々で挙がっていた。
 浜松でもこの種のホテルが多くできたが、利用する機会がなかった。時代に合ったホテルでしばし旅の疲れを癒した。

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4.周到な受け入れ態勢と最上級の処遇
   航空自衛隊第12飛行教育団の受け入れは、完璧で準備万端整っており、「航空学生制度創設60周年記念行事のご案内」なるパンフレットが用意されていた。
    パンフレット内容を見て感激した。実に良く簡潔明瞭にまとめられており、「必要にして十分」なものであった。
 第1期生からは、それぞれの立場で小林誠(元航空学生連合会会長・第1期生会長)・村田博生(元航空学生連合会会長)・末原基與治(第1期生会)・濱田喜己(第1期生会)の4名が参加した。諸行事の中で第1期生は、来賓と同様に最高の処遇をしていただいていることに対して一同その心づかいに感謝した。
    防府の大地に立って60年の歴史の重みをひしひしと感じた。1期生はまさにその歴史の生き証人であるからだ。この2日間は老兵も背筋を伸ばして誇り高き男に立ち返っていた。
 
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 《 立派な内容の「航空学生制度創設60周年記念行事のご案内」のパンフレット 》

 

5.航空学生制度の起源と役割
    第12飛行教育団作成の「航空学生制度創設60周年記念行事のご案内」の「はじめに」いみじくも次のように記されている。
  その要点は❶第1期操縦学生207名が昭和30年6月2日入隊し、二段ベッド、ガリ版刷りなど何もないところから航空学生制度が始まった。❷防府北基地で現在70期と71期が教育訓練に励んでおり、創設から60年の歴史を刻んでいる。航空自衛隊の骨幹をなす操縦者の育成の場が確立された。❸航空学生制度は、新進気鋭の空の防人5012名(うち女子22名)の飛行幹部候補生を輩出した。創設期には航空自衛隊のみならず民間航空の育成発展に多大な貢献をなした。❹航空学生出身者は航空自衛隊操縦者の6割を占め飛行部隊戦力の中核となっている。❺航空学生出身者でその職に殉じた130柱の殉職者がいる。かくも厳しい世界がどこにあるであろうか。日本の空の守りは英霊の加護によってなされている事は特記すべきことである。
 
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《「航空学生制度創設60周年記念行事のご案内」の「はじめに」に記されている内容、簡潔な文面の中に航空学生の全体像が凝縮されているかのようである。その行間に汗と涙、さらには血がにじんでいる。まさにわが国の空の守りの固い基盤がここにある。》

6.  航空学生連合会懇親会
    航空学生連合会(会長高垣康二1佐)主催の懇親会が、6月5日19時〜21時、防府グランドホテルで開催された。ホテルからバスに揺られて移動した。
    懇親会は、参会者約200名の大懇親会となり、航空幕僚長齋藤治和空将、航空教育集団司令官半澤隆彦空将、防府市長松浦正人様、元航空幕僚長遠竹郁夫元空将、つばさ会会長吉田正航空幕僚長・元空将、空幕人事教育部長城殿保空将補、第12飛行教育団司令伊藤哲1佐、いちいち会会長代理平塚康二将補、翔友会代表理事酒井一秀(20期)、歴代航連会会長、航空学生各期代表、航連会本部役員、各基地航学会長会長及び防府北基地航学会会員であつた。
 主催者の 航空学生連合会会長高垣康二1佐の挨拶、祝辞は来賓の航空幕僚長齋藤治和空将、航空教育集団司令官半澤隆彦空将、元航空幕僚長遠竹郁夫元空将、つばさ会会長吉田正航空幕僚長・元空将、次いで航空学生出身者を代表して、第1期生会会長の小林誠君が祝辞を述べ、防府市長松浦正人様が祝辞を述べられた。いずれも航空学生制度60周年を迎えるにあたって、それぞれの熱い熱い思いを述べられた。
 懇親会であるだけに、砕けたお話の中に航空学生制度に寄せる存在意義や暖かい賞賛と激励の言葉であり心に響くものがあった。60年という歴史の重みをひしひしと感じる内容であった。
 第1期生は、斎藤航空幕僚長と同じテーブルに小林誠君と末原基與治君、半澤教育集団司令官、遠竹元航空幕僚長と同じ席に村田博生君と私が入り、半澤教育集団司令官、遠竹元航空幕僚長とも親しくお話をした。
   記念撮影の後、 現役代表も参加した懇親会であるだけに、盛り上がり「最後の航空学生の歌」は輪を作って合唱し万歳三唱して閉会した。
 二次会は、遠慮して小林君とタクシ-でホテルに帰って休むことにした。先に実施した2日~3日の浜松における「第1期操縦学生入隊60周年記念大会」に引き続いての行事であり、まだまだ気は若いが歳には逆らわないことにした。
 

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 《   航空学生連合会会長高垣康二1佐(35期・第21代第2輸送航空隊司令)は、60年の歴史を有する航空学生出身者の連合会長としての力強い挨拶をされた。 》
 

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《 第33代航空幕僚長齋藤治和空将(防大22期) の祝辞、航空学生は航空自衛隊の宝であると力説された。 》
 

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《 第26代航空幕僚長遠竹郁夫元空将の祝辞、航空学生制度の更なる発展を強調された。 》

 

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 《 つばさ会会長吉田正・第28代航空幕僚長・元空将の祝辞、航空学生制度の意義と発展を強調された。 》

 

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《 航空学生出身者を代表して、第1期生会会長小林誠君の祝辞、60年前を振り返り、後輩への激励と航空学生制度の更なる充実発展を強調した。 》

 

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《  防府市長松浦正人様の祝辞、18年間防府市長をされ、毎回欠かすことなく基地の行事に参加されている。防府航空自衛隊操縦者の育成の地であることを誇りにし、全面支援すると強調された。 》

 

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 《 航空学生連合会副会長浜博志1佐(38期・12教団教育群司令)は、祝辞にこたえて逞しい航空学生を育成すると挨拶された。 》

 

懇親会の模様

 

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 《 第1期生村田博生君(右)と第12飛行教育団司令伊藤哲1佐(左) 》

 

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 《 第1期生末原基與治君(正面)》

 

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 《 第1期生小林誠君(真ん中) 》

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 《 次々料理が運ばれたが、話に夢中であった。 》

 

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 《 航空学生の歌の合唱と万歳三唱 》

 

 《 懇親会記念撮影・防府基地ホ-ぺ-ジから出典・転載 》