昭和の航空自衛隊の思い出(142) 指揮幕僚課程学生選抜試験の受験の準備

1.平素からの研さん「幹部学校記事」と「鵬友」

 昭和35年2月~12月まで奈良の幹部候補生学校における第23期一般幹部候補生課程(部内)を卒業し、要撃管制幹部課程を修了し、警戒管制部隊の第一線において任務に就いた頃から、いつともなく 自ら幹部学校が発行している「幹部学校記事」を購読するようになった。この年4回定期的に発行される小冊子は、当時、初級幹部にとって最も自学研さんに適した内容であったように記憶している。

 当時のことをひもといてみると、創刊は昭和33年で発行目的は、「主として航空自衛隊幹部学校における教育・研究の成果を幹部自衛官全般に普及し、その軍事的識能の向上に資し、もって現在及び将来における航空自衛隊の任務遂行に寄与する。」とある。

 25、6歳の青年幹部として駆け出しの私にとって、現状及び将来の航空自衛隊のありように強い関心を持っていたいたことから、この「幹部学校記事」は私の研究心・向上心を満たしてくれるものがあった。

 こうしたことから、部内幹候出身の私にとっても、雲の上の存在であったとはいえ指揮幕僚課程についてそれとなく関心・影響を受けたたのではないかと思われる。

 選抜制度になってからの10期から18期までは、学生数約30名前後で競争倍率は10~20倍であったが、昭和44年入校の19期から約40名となり15~17倍になったように記憶している。

 「幹部学校記事」は、昭和50年、その後の読者数の増加、時代の進展につれ、航空自衛隊の幹部全体を対象とした「研さんと相互啓発の場」へと発展し、「鵬友」となって継続発刊となった。退官まで全巻を保存して活用したものだ。

 後年、人事担当として部隊に勤務した折、小隊長・付幹部を対象とした「服務指導研究会」を運営して、初級幹部の隊員指導について研究討議をしたり、「鵬友」に掲載される事例研究への応募など全員に推奨したことがある。これらは若い時からの幹部学校記事の影響等があったように記憶している。

2.「幹部学校記事」によるCS出題への関心

 このような背景の中で「幹部学校記事」に掲載された指揮幕僚課程学生選抜試験の第1次試験の原則・共通、職域などの問題を見て、自分なりに解答を書いてみたりしているうちに、成否はともかく一度は挑戦してみてもよいのではないかという気持ちが芽生えたようである。

 その中で最も関心を持ったことは、出題された問題の傾向が第一線の部隊でこつこつと毎日の職務に真面目に取り組んでいる幹部にとっては、今日及び将来の問題点、課題であったり苦労して取り組んでいるいる事柄が多かったことに受験意欲をそそられた。

 受験勉強のための受験準備ではなく、毎日の職務に真剣に取り組み日々、向上・改善・創造を目指して努力することが即受験準備に勉強でつながることから、これだと全く歯が立たないのでなく、ある程度の成算はあるかもしれないと思うようになった。

 過去の出題された職域の問題は、実務に直結し問題であった。1尉昇任後、わが胸に受験を志してからは問題意識をもって取り組むことにしたので、仕事の面では意欲的になり、かなり進歩向上していった。作戦要綱・指揮統率・指揮幕僚勤務の基本原則に関する論理的・客観的な考察やものの見方・考えについては、基本に立ち返って原理原則を学習することに重点を置いた。

 部内幹候出身の場合、特に先輩がいて指導してくれるわけでもなく、自分の胸の内にしまっての準備であったので、幹部学校記事は自学研さんの大きな資料であった。

 

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 《 幹部高級課程、指揮幕僚課程の合同卒業式 》