昭和の航空自衛隊の思い出(141) 指揮幕僚課程学生選抜試験の受験

1. 幹部学校における指揮幕僚課程

 航空自衛隊幹部学校は、上級の部隊指揮官または上級幕僚を養成することを目的として設置されたものである。航空自衛隊創設に遅れることの1月後、昭和29年8月開校された。全く独立した組織として、新たに発足した航空自衛隊にとって、組織の骨幹となる人材の養成は緊要の課題であり、昭和30年10月第1期指揮幕僚課程が始まった。次に31年10月に、幹部高級課程及び幹部普通課程が、さらには航空兵器課程がスタ-ㇳし教育体系が整った。更に、上級事務官等講習が加わった。

 私が、昭和45年1月に幹部学校の幹部普通課程に入校した時の教育目標は、「幹部自衛官としての資質を向上させるとともに中級の指揮官又は幕僚として必要な基礎的知識及び技能を習得させる。」であった。

 当時、第18期指揮幕僚課程学生が入校中であり、指揮幕僚課程の教育目標は、「幹部自衛官としての資質を向上させるとともに上級の指揮官又は幕僚として必要な基礎的知識及び技能を習得させる。」ことにあったと記憶している。

 幹部普通課程と指揮幕僚課程の違いは、教育目標の対象を「中級」から「上級指揮官又は幕僚」においている点である。

 時代とともに教育内容も充実発展したであろうが、昭和36年度・第10期生から指揮幕僚課程学生の選抜試験制度が制定された。以後、第1次試験は2月、第2次試験は5月、入校7月~翌年7月であった。

2. 指揮幕僚課程学生選抜試験の受験資格

 幹部学校指揮幕僚課程は、部内で俗に「cs」と広く知られている。学生の選抜試験については、「幹部学校指揮幕僚課程学生選抜試験規則」に定められており、昭和44年4月全面改正が行われた。

 その改正の主要点は、受験資格について「2等空佐もしくは3等空佐又は1等空尉3年以上」を「3等空佐又は1等空尉2年以上」へ、「39歳未満」を「37歳未満」へ、「試験回数4回」を「試験回数3回」へと変更されたことであった。受験者の漸増等により1尉の在級年数、年齢、受験回数に制約が設けられた。

 これにより、当時、私の場合、受験資格ができるのは、44年1月に1尉へ昇任したので在級年数2年以上になるには46年2月以降であり、第21期指揮幕僚課程学生の選抜試験のみ受験することができた。年齢から1回だけチャンスがあった。

3.秘めた命題に取り組むためのCS受験

  CSについては、幹部普通課程に学んでいるうちに、総務人事幹部として、将来目標である心に秘めた四つの命題に取り組み本格的に施策等を実現するには、単に現場で努力するだけはなく、それなりの実力・識見技能を高め、「施策等の立案に参画・寄与する階級と配置・職位につくこと」が必要であることを認識するようになった。   

 「それなりの階級と配置・職位につかなければ参画・寄与することができない」という内なるこの意識と受け止め方は強烈であったように記憶している。

 当時、部内幹候出身者でCSを卒業した者は各期に1名いるかいないか、指折り数えるほどしかいないと聞いていた。しかし、部内幹候出身者だから特に受験を志したという意識は全くなく、前述の気持ちの方が強かったようだ。

 結果としては、1尉の在級年数と受験上限年齢から受験資格は1回しかなかったため、部内幹候出身者としての指揮幕僚課程学生選抜試験への挑戦となってしまった。 

 当時の心境については、「昭和の航空自衛隊の思い出(140)    指揮幕僚課程選抜受験を胸に秘める」に記した。