昭和の航空自衛隊の思い出(103) 竜神様のお使い「ウミガメ」との出会い

 1   竜神様のお使い「ウミガメ」との出会い 

   昭和36年9月から41年まで房総の鴨川・長狭で生活した。39年ある日の早朝いつものように、夫婦で鴨川の前原・横渚海岸を散歩していたら遠くの波打ち際に何かいるのが見えた。急いで近づいてみると大きなウミガメであった。多分陸地に向かっていたように記憶している。

 このままだと、いたずらされたりしてかわいそうだと、2人で力を合わせて、方向変換させ、海に逃がしてやった。産卵の時期でもなかったと思っていたが、今でも不思議でならない。ウミガメを見たり、ウミガメの二ュ-ス等を聞くと、50年前の安房鴨川の前原・横渚海岸のでき事がよみがえる。

    その昔、鴨川の漁師は、ウミガメを「リュウジンサマ」と呼び、竜神様のお使いとして大切に扱っていたといわれていたとのことである。今風で言うならば動物愛護の精神が満ち溢れていたとも言える。 

    初級幹部としての初任地で竜神様のお使いに会えたことは不思議な縁であった。人生にはロマンがあった方がよい。竜神様のお使い「ウミガメ」との出会いもその類いかもしれなかった。

2  竜神様のお使い「ウミガメ」のご加護

 今から考えると、時期は定かではないが散歩の時期等からして、6月から8月頃ではなかったかとも思われる。《ウミガメの資料》を調べてみると、その時期であったかもかもしれないと思うことがある。

 日本はアカウミガメの主要な産卵場で、千葉県はアカウミガメが毎年産卵にやってくる北限域にあたり、南房総では毎年6月から8月にかけて産卵が見られるという。1回の産卵は80個から140個ほどで、卵はピンポン玉に似ている。およそ2ヶ月後に砂の中でふ化し、ふ化後数日から1週間かけて子ガメは地表に這い出し、海に旅立つとのことであった。

 当時、私には南房総のウミガメの知識がなかったが、産卵であったとすれば、せっかく上陸したのにかわいそうなことをしたと思い出すことがある。南房総でのアカウミガメはその後再度の産卵に上陸したであろうか。

 半世紀前の出来事であったが、今でも遠州海岸にも産卵期になるとウミガメがやってくるニュ―スを聞くたびに夫婦で話題にすることがある。又、浜松市中田島砂丘の散策に出かけるたびに、ウミガメの産卵保護囲いと案内板設置に出合い、その保護活動に関心を持ち、ウミガメに一層親しみを感じている。   

 私の35年余の自衛官の生活の中では、この時点はまだ初級幹部としての駆け出しの頃であり、これからいろいろな勤務地で暮らすことになる。「人生至る所に青山あり」であった。竜神様のお使い「ウミガメ」との出会いは私たち夫婦にとっても幸せをもたらしてくれた。これもウミガメのご加護があったのではなかろうかと思っている。

 

鴨川の前原・横渚海岸について】

公益社団法人   千葉県観光物産協会 ホ-ムぺ-ジから転載(出典)

 

《 昭和39年ある日の早朝いつものように、夫婦で鴨川の前原・横渚海岸を散歩していたら遠くの波打ち際に何かいるのが見えた。急いで近づいてみると大きなウミガメであった。竜神様のお使い「ウミガメ」との出会いであったのだ。

 前原・横渚海岸の人影のない海岸の美しさは、50年前と変わらないであろう。『日本の渚百選』の1つに選ばれたことを知り、当時の海岸の散歩がよみがえってきた。》

 千葉県観光物産協会 ホ-ムぺ-ジは『日本の渚百選』の1つに選ばれてた「前原横渚海岸」を次のように紹介している。

 「前原横渚海岸は、弓なりの渚と入り江の美しい自然芸術のようなリゾート都市・鴨川のシンボルの海岸で、「海の日」を記念した『日本の渚百選』の1つに選ばれています。
 この海岸沿いには、約1キロメートルにわたりトロピカルな海浜遊歩道「鴨川潮さい公園」が続いており、ワシントンヤシやガス灯風の街灯が雰囲気を盛り上げ、散策やジョギング、サイクリングに人気です。
また、年間を通して波のコンディションがいいことから多くのサーファーで賑わっています。」