今年は昭和30年6月に入隊した航空自衛隊第1期操縦学生は、60周年を迎える。多くが80歳・傘寿となり記念大会・同期生会を浜松で行う予定である。( 航空自衛隊創設期の「操縦学生制度」はその後、海上の発足とともに「航空学生制度」となった。1期生間では「操縦学生」・「操学」・「操学1期」を使用している。)
最近の航空学生の状況については、第1期操縦学生OBにとっても、後輩たちはどんな状況かいささか気になり関心のある事柄である。応募者数・競争率・合格者数などについて、航空と海上との比較、その他の各種採用試験との関係など、私の60年前と比べながらみると興味が尽きないものだ。
1. 航空学生等の応募採用状況
平成26年度防衛白書 から転載(出典)
2. 航空学生の3次試験
航空自衛隊ホーム > リクルート > 自衛官採用情報から転載(出典)
航学3次試験の紹介 (24.12)
航空幕僚監部人事計画課募集班 航空学生採用担当 1等空尉 村田 龍也
皆さん、こんにちは!航空学生採用担当の村田1尉です。
平成24年度航空学生採用3次試験が12月12日(水)に終了しました。この3次試験に151名がチャレンジしました。航空学生採用3次試験の一番の特徴は、受験者がT-7練習機に乗り込み、上空で実際に操縦する飛行検査が実施されることです。この飛行検査中に空酔い(乗り物酔い)で、3次試験を辞退する受験者が出ないか心配していましたが、今年は全員がリタイアすることなく、4回の飛行検査を終えました。受験者の皆さんは本当に良く頑張ったと思います。最終合格者の発表は、年明けの1月18日(金)に行いますので楽しみに待っていて下さい。
航空学生の3次試験は、静岡県の静浜基地及び山口県の防府北基地において、飛行検査、面接検査、医学適性検査の3項目を実施します。今回は、その飛行検査について説明をしたいと思います。少しでも、3次試験に臨む方の参考になれば幸いです。
今回は、航空学生の3次試験がどの様に行われているか紹介します。
3次試験の期間は、天候等の理由により変更する場合がありますが、通常は約6日間となっています。まず、1日目となる土曜日に防府北基地(山口県)又は静浜基地(静岡県)に集合し、3次試験の日程や基地内生活の説明を受けた後、フライトスーツに着替え、面接検査及び医学適性検査の説明を受けます。この説明が終わる頃には、全国から集まった受験者は3次試験期間中に受験のサポートをさせて頂く隊員ともすっかり打ち解け、初日の夕食は楽しいものとなります。
2日目は、午前中に教官パイロットから操縦法を教わり、午後はヘルメットやパラシュート等の装着要領及びT-7練習機の説明をみっちり受けます。
3日目は、いよいよ飛行検査となります。静浜基地で行われた5回目の受験者は、07:30に離陸し、約1時間半後に上空での検査を終え受験者が戻ってきました。着陸したT-7練習機から元気に降りてきたのですが、話を聞くと4名中3名が、途中で「気分が悪くなりました」と言っていました。でも、飛行機を操縦した感動の方が大きく、「2回目のフライトはもっと上手に操縦しますよ!」とやる気満々で、パイロットを目指す意気込みが感じられました。この飛行検査を4回とフライトの合間に行われる面接検査及び医学適性検査を受検すると3次試験は終了となります。
これらの様子を掲載していますので、来年受験をお考えの方は参考にして下さい。
最後に、このメッセージをご覧の皆さんにとりまして、平成25年が素晴らしい一年となりますことを心から祈念し、簡単ではありますが年末年始のご挨拶とさせて頂きます。皆さん良いお年をお迎え下さい。
航空学生採用第3次試験紹介(静浜基地)
1日目
受験者基地到着(試験日程、基地内生活の説明)
面接検査及び医学適性検査の説明
夕食(自衛隊の食事は美味しいと好評でした。)
操縦法の教育(みんな真剣に教育を受けていました。)
救命装備品装着要領の教育(総重量20kg以上!)
機体の説明(乗り降りの方法等も教わります。)
3日目
装具の最終チェック
(パイロット訓練生が色々とお世話してくれます。)
T-7に乗込み、いよいよ飛行検査!
(頑張ってこいよ!、受験者:ドキドキ)
3. 航空学生の採用制度
航空自衛隊ホーム > リクルート > 自衛官採用情報から転載(出典)
航空幕僚監部人事計画課募集班 2等空佐 洞口 貴裕
◇はじめまして
申し遅れましたが、私はこの度7月15日付で航空幕僚監部人事教育部人事計画課募集班に配置されました洞口(ほらぐち)2佐(岐阜県出身)と申します。
航空学生及び技術航空幹部の募集・採用を担当します。よろしくお願い致します。
私は、高校卒業後、航空学生として自衛隊に入隊し、部隊では救難隊の捜索機U-125Aを操縦しておりました。 さて今回は、私が航空学生出身者ということで、航空学生の採用制度ついて紹介させて頂きたいと思います。
◇航空学生の魅力
航空学生の大きな魅力は、高校卒業後に入隊し早くパイロットになれるということです。
航空学生に合格すると、入隊2年後から操縦教育が始まるため、早い者で20歳で航空機に乗りはじめ、23歳で航空自衛隊におけるパイロット資格が付与されるとともに、事業用操縦士という国家資格を得ることができます。また、女性も航空学生を受験でき、男女を問わず、こんなに早くパイロットになれる道は他にはありません。「1日でも早く、パイロットになりたい。」という方には、夢のような制度といえるでしょう。
そこで、最も伝えたいことは、この魅力ある航空学生の受験資格が、18歳と19歳の2回(自衛隊入隊者は、20歳までの3回)しかないということです。パイロットになりたいという夢を少しでもお持ちの方は後悔のないよう、この貴重なチャンスを逃さないようにして頂きたいと思います。(今年度の願書受付は、すでに開始されています、締切りは、26.9.9(火)です。)
◇航空学生受験について
航空学生の試験は、学科試験、適性検査、身体検査、面接等がありますが、1要素のみで判定しません。これらがバランス良く基準に達していることが合格の条件です。
よって、学科試験に自信がない方でも、その他の試験科目を含めて一定の基準を満たしていれば十分に合格のチャンスがあります。また視力に不安がある方でも、現在は眼鏡を使用して受験することができ、合格基準も遠距離矯正視力1.0以上(裸眼視力0.2以上)となっており、昔に比べれば大幅に基準が緩和されています。
以下、航空学生試験に合格し、航空自衛隊のパイロットになるまでを説明したいと思います。
◇航空学生課程
試験に合格後は、山口県の防府北基地に航空学生として入隊し、2年間で将来の幹部自衛官に必要な防衛学等の知識や、パイロットとして必要な航空力学等の知識を学ぶほか、水泳、筋力トレーニング、持続走等の体育訓練を通じて基礎体力も段階的に向上させます。
◇飛行準備課程
2年間の航空学生課程を卒業した後、約5~8か月の間、飛行教育に必要な航空法規等の基礎知識を学ぶほか、落下傘降下準備訓練、遠心力発生装置を使用した耐G訓練、低圧力環境下での航空生理訓練等を行います。この課程の後、いよいよ飛行教育が始まります。
◇初級操縦課程
この課程は、航空自衛隊静浜基地又は防府北基地で実施され、T-7初等練習機で約6ヶ月間、操縦の基礎を学びます。まずは離着陸を主とした空中操作という課目を行いますが、宙返り等の曲技飛行も練習します。その後、航空機の姿勢や高度等の測定を航空機上の計器のみに依存して行う計器飛行や、2機がペアになって飛行する編隊飛行等、段階的に難易度の高い課目の教育を受けます。当初は教官といっしょに飛行しますが、一定の基準に達すると各課目毎に学生のみで操縦する単独飛行も実施されます。この課程の検定試験に合格すると次の基本操縦課程に進みます。
◇基本操縦課程
この課程では、初級操縦課程卒業時の本人の適性と希望を踏まえ、戦闘機要員と輸送機・救難機要員に分けられます。
戦闘機要員は、芦屋及び浜松基地においてT-4中等練習機で、輸送機・救難機要員は、美保基地においてT-400輸送機・救難機等基本操縦練習機でそれぞれ教育を受けます。この課程の検定試験に合格すると、ウイングマークという記章が授与され、正式に航空自衛隊のパイロットとして認められ、国家資格である事業用操縦士の資格を取得します。
◇基本操縦課程修了後
基本操縦課程修了後は、戦闘機要員は、戦闘操縦基礎課程(浜松基地:T-4中等練習機)を経て、戦闘機操縦課程(F-2B戦闘機:松島基地、F-15J/DJ戦闘機:新田原基地)、輸送機要員は、輸送機操縦課程(C-1中型輸送機:美保基地、C-130輸送機:小牧基地)、救難機要員は、救難操縦課程(U-125A救難捜索機又はUH-60J救難ヘリコプター:小牧基地)へそれぞれ進み、航空自衛隊のパイロットとしての道を本格的に歩むこととなります。