昭和の航空自衛隊の思い出(66)主要な教育内容と起居環境

1.主要な教育内容

 私が学んだ昭和35年頃の幹部候補生学校における主要な教育項目は、現在ホ-ムぺ-ジで公開されている一般幹部候補生課程の主要教育項目及び課目*と基本的には同じではなかったかと記憶している。

 当時の部内幹部候補生課程は43週であり、現行の約26週からすると17週短縮され大きな差がある。時代の経過とともに幹部候補生に対する教育体制の充実と相まって、部内幹部候補生に期待するもの、自衛隊勤務における知識・経験・技能、年齢、資質能力、人事管理等の反映ではなかろうかと推察する。 

 私が学んだ当時は、部内出身者の特性から普通学に 英語のほか解析幾何、微分積分、電子工学、波動力学、熱力学、統計確率などなどいくつかの課目があった。普通学では、35歳前後で微分積分、解析幾何となると数学からしばらく離れていた年長組は苦労していたのが印象に残っている。操縦学生基本課程を学んできた若手組は、普通学に類する課目はすでに学んでおり余裕を持って過ごしたことを覚えている。

 一方、年齢・体力・気力面に優れているといっても、野外訓練等は厳しい内容で一睡もせず60キロ行軍をやり遂げる等の野外訓練など数々の思い出がある。

  課程全般を通して起床から就寝まで、忙しい日課であったが、私は若手組であったので幹部候補生らしく溌剌として10か月の教育期間を過ごした。新婚の妻を浜松に置いての隊内生活であったが、たまに土日の課業時間外で教育訓練、諸勤務に支障のない範囲で帰宅することがあった。

 * 一般幹部候補生課程(一般大学等卒業者)の主要教育事項及び課目

 精神教育(使命・徳操)、服務(服務・管理(文書・人事・教育訓練等))

 普通学(英語)、防衛学(指揮・防衛一般・統合・航空作戦・戦史)、教練及び体育(基本教練・基地防衛・体育)

 

 

2.一般基地と変わらない起居環境 

 昭和30年代は、航空自衛隊の各基地とも米軍等から引き継いだ隊舎が多かった。隊舎が狭隘であったため3段ベッドもあった時代である。幹部候補生も2段ベッドで、私物を入れる小型木製のロッカ-が1個あるだけであった。

 今日からすれば、厳しい教育環境ではあったが、国全体が発展途上で、誰も不平不満をもらすこともなく、これが普通との雰囲気であった。幹部候補生の修練には施設等の完備は関係なく、「郷に入れば郷に従え」と環境に適応するコツを身に付けていたように思われる。

   昼食は、給食当番(KP)になったものは、授業中であっても早めに引き上げて、給食の手伝いをしたりする作業があった。給養隊員が足りなかったのか、集団給食業務の体験といった教育的な狙いがあったのか定かではない。これは操縦学生基本課程の時も同じことを行ったことがある。

 

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 《 2段ベッドの居室 》

 

 

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《 朝の洗面所 》

 

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《 居室の清掃と靴磨き 》

 

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《 集合整列 》

 

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《 教室兼自習室 》

 

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《 KP当番の作業 》