1. 立山黒部感動の旅
10月 11日・第2日は、前日より更に晴天に恵まれ旅行は快適だった。圧巻は何と言っても黒部ダムの放水であろう。雄大な風景が展開され、陽光に照らされ虹の輪が出来ると感嘆の声が上がった。
大自然のパノラマを眺め幾つもの感動を味わえたことに感謝した。それにしても、三連休だけに人出の多いことに驚くばかりであった。多数の外国人の観光ツアーもあり、国際的な観光ルートとして定着していることを実感した。
夜9時半に帰宅した。疲れはしたが十分に満足した旅であった。
2. 立山黒部アルペンルート
❶ 今回ルートの概要
旅行に当たっては、事前にネットや資料を調べた。現場では各種の記念館があり、パネルを見たり、資料を収集し、全体像を理解することができた。
アルペンルートを旅して、富山県中新川郡立山町の立山駅(富山地方鉄道)と、長野県大町市の扇沢駅(関電トンネルトロリーバス)とを結ぶ交通路が国際的にも大規模な山岳観光ルートであることを実感した。
- 立山駅 - 美女平駅:立山黒部貫光立山ケーブルカー
- 美女平駅 - 室堂駅:立山黒部貫光立山高原バス
- 室堂駅 - 大観峰駅:立山黒部貫光無軌条電車線(立山トンネルトロリーバス)
- 大観峰駅 - 黒部平駅:立山黒部貫光立山ロープウェイ
- 黒部平駅 - 黒部湖駅:立山黒部貫光黒部ケーブルカー
- 黒部湖駅 - 黒部ダム駅:黒部ダム堰堤上を徒歩連絡
- 黒部ダム駅 - 扇沢駅:関西電力(関電トンネルトロリーバス)
- 扇沢駅 -観光バス
黒部ケーブルカーは全線がトンネル内である。また、立山ロープウェイは途中に支柱を1本も設けていないワンスパン方式である。これらは景観保護や、なだれによる被害を防ぐための方策といわれている。
❷ ルートの特色
立山駅から扇沢駅までは、ほぼ西から東に 25 km 足らずの直線距離だが、最大高低差は 1,975 m あり、ルート内の交通機関として、立山連峰の景観を望む立山ロープウェイ、全線地下式のケーブルカー、黒部ダム建設に用いられたトンネルを通るトロリーバス、日本国内一の堤高を持つ黒部ダムの堰堤上の徒歩での移動など、様々な乗り物を乗り継いで移動した。
今回の団体ツアーは高齢者、特に女性が主力を占めていた。今日は、階段を登ったり降りたりの連続で、結構高齢者にはきつかったようだ。
ル-トのほぼ全区間が中部山岳国立公園内にあり、飛騨山脈・立山連峰を貫き、黒部ダムなどのいくつもの景勝地を通る。途中駅にはホテル立山などの宿泊施設もあり、それぞれが登山、散策、トレッキング、その他の観光コースの基点にもなっている。
本ルートは4月半ばから開通し、11月半ばに閉鎖されるとのことであった。
最高地点は、立山登山の基点ともなる室堂で標高 2,450 m 。富山県側の立山から黒部湖までの区間は山岳観光や立山登山客の便を図るために作られた。
黒部ダムから扇沢の区間(途中に富山県、長野県の県境)は黒部ダム建設の資材運搬のために建設され、ダム完成後に一般の旅客に開放された。
❸ 室堂
観光の中心は室堂であるが、4月から5月にかけての観光の中心は「雪の大谷」の「雪の大谷ウォーク」(無料)である。1994年に始まり、2009年に100万人、2012年に富山ー台北便の就航、2014年に200万人を突破するといわれている。
これは室堂から麓の方へ歩いたところにあり、毎年新聞テレビでもおなじみで、15メートルから20メートルの雪の壁を目の当たりにすることができるという。
❹ 所要時間
立山黒部アルペンルートは、立山駅から扇沢駅まで、乗り換え時間を含めない合計移動時間は2時間弱であるが実際の時間は何倍かかかった。
シーズン、特に連休は、各々の交通機関の待ち時間が1から2時間に及ぶといわれており、今回も同じようであった。時間待ちは諸般の状況からすれば許容せざるを得ないであろうと思った。
❺ 座席に座れること
運行ダイヤについては時刻表に記載の便の他に、待ち具合によっては臨時便の増発・増便をはかっているとのことであるが、お客さんの数がそれを上回っているように感じた。
今回は、美女平から室堂までの高原バスを除いて、すし詰め状態でまさに立錐の余地のない状況であった。
全員 座席に座れることが最低限の必須条件であることを痛感した。
3.観光立国のために
今回の旅行を通して感じたこと。
我が国が観光立国として、将来発展するためには、せめて「座席には全員が座れる」ことが必要不可欠である事を実感した。
早急に解決を図る必要を感じた。英知を出せば「ゆっくりとした旅」はいくらでも確立できるであろう。
私が今回見た限りでは、個人のお客は少ないように見受けた。要するに、不特定多数の観光客は少なく、大部分が旅行会社を経た団体の観光ツアーである。
数量的にも事前に把握が可能であり、対処ができると考えられる。多くの旅行者がそのように思っているようだ。
先人たちが黒部の電源開発に注いだ情熱と実行力をもってすれば、この程度の解決のための対処は朝飯前であろう。
観光客に対して臨機応変の対処が出来て、「座席に座れて」「ゆったりとした快適な旅」ができてこそ、わが国が観光立国として名実ともに内外に誇れる時であろうと思ったがどうであろうか。
今のままであると、大自然の立山黒部は誇れるが、人間が運営する人員運送面がこのままであると、恥ずかしくて外国人はもとより日本の旅行者に勧められないほどであった。「安全確保」と「快適旅行」の観点からも早急な対応が求められる。
日本人の緻密な運営能力と技術力、実行力をもってすれば、すぐに解決できる課題ではなかろうか。いつまでも「黒四ダム」に代表される立山黒部の山岳観光ル-トが発展することを祈念してしてやまない。