航空自衛隊第1期操縦学生(12) 第1期生の著書と後世に残さんとするもの

1.  第1期操縦学生の著書

    戦後初の航空自衛隊操縦学生制度と第1期操縦学生の軌跡やパイロットの経験談等ついては、同期生の5冊がある。
❶徳田忠成君の「天翔る群像・第1期操縦学生の軌跡」(  ジヨス)、17年8月発行 
石井義人君の「大空の青春・航空自衛隊第1期操縦学生の軌跡」(碧天社)、17年5月発行
❸村田博生君の「フアィターパイロットの世界・ターボと呼ばれた男」(  グランプリ出版)、15年4月発行
❹高橋正君の「大空の仲間」(非売品)17年8月発行、24年8月追加
❺菅原淳君の「 トップガン奮戦記 」(トロイカス出版)、14年6月発行
 
☆著書の内容は、2013/06/02のブログ「航空自衛隊第1期操縦学生(2)  天翔る群像  第1期操縦学生」に記した。(トップガン奮戦記を除く)
 
☆  トップガン奮戦記

 

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 「トップガン奮戦記」は、平成14年6月3日発行、325ぺ-ジ・イカロス出版で各機種の操縦経験談、スクランブル、空戦訓練など戦闘機パイロットの秘話などが語られている。それにしても顔の特徴がよく出た表紙イラストだ。
 著者・菅原淳君は、第1期操縦学生のエースとなったことは勿論、航空自衛隊「航空学生制度」発足59年の歴史で将官に栄進したトップの人物である。
 第1期操縦学生として、昭和30年6月入隊し、T-34・T-6・T-33・T-2・F-86F・F-86Ⅾ・F-104J・F-104DJ・F-4EJの全機種を乗りこなした。総飛行時間5500時間。指揮幕僚課程(CS)を卒業し主要戦闘機部隊、方面隊司令部、統幕、空幕等勤務をした。「操学1期の星」として、F-104飛行隊長・F-4飛行群司令・航空学生教育隊司令・第4航空団司令を歴任した。航空学生初の将官に栄進し、数々の功績を上げた。 
 
2.  著書が後世に残さんとするもの
     昭和29年7月航空自衛隊の創設後、誕生した操縦学生制度と第1期操縦学生に関わる著書が上記のとおり出版されたことは、世間から見ていかに大きな関心と注目をされたかということの証左であろう。
    東京オリンピックの開会式の上空に五輪のマークを描いた操学1期生の淡野徹・西村克重・藤縄忠の各君の偉業に象徴される如く、第1期操縦学生の存在は航空自衛隊のみならず、日本の民間航空にとっても大きな貢献をしたと言って過言ではない。
    また、こうした著書が現役を退き、入隊50周年前後に発行されたことは、当事者の彼ら自身の心の底に、創設期の苦難の道のりを記録して後世に残しておきたいとする内なる強い思いがあったことを物語るものであろう。
    航空自衛隊の歴史の中でこれほど多くが語られ、著書が生まれたことはないと思われる。あらゆる面で第1期操縦学生の生き様が余すことなく存分に記録されたことは特筆すべきことである。
   昭和30年6月山口県防府の地に集いし若者が、大空の飛躍を目指して厳しい教育訓練に切磋琢磨した青春の日々を忘れることなく、各々が第1期操縦学生としての誇りをもって、創設期の激動の時代にもまれながらも負けなかった。歩んだ道は異ったが、自らの人生を切り開いた軌跡に誇りと満足感を抱いているからに他ならないのではなかろうか。
  大空への志が中途で断たれた私が、ブログで取り上げる所以もそこにある。