浜ちゃん日記 テレビ戦国ドラマを見る視点

1.  NHKドラマ「軍師官兵衛」を観る視点

  今年2014のNHK大河ドラマの「軍師官兵衛」は興味深く観ている。 

    ドラマの製作について全くの門外漢であるが、主人公の黒田官兵衛をどう描こうとしているのか、特に戦国の乱世における軍団の指揮官と幕僚をどのように捉え、描いているかに視点を当てて観ている一人である。

     ドラマであるので、史実の一つ一つが正確であるかどうかはあまり気にはならない。ドラマが史実の大筋は捉えながら、制作の意図・「何を描こうとしているのか」によって、制作者が自由に思いのままに描くのがドラマであるからである。そこには、製作者の歴史観、人生観が根底にあるものだ。そうはいっても歴史ものである限り、ある程度の時代考証は行われているであろう。

    なぜ指揮官と幕僚について興味を持つかと言うと、大昔の武士軍団と雖も軍事組織の運用活動は古今東西同じだからである。

    自衛隊OBとして、軍事組織に身を置いた立場からこのドラマを観ると仲々面白いものである。

     現在の場面では総指揮官織田信長、地区指揮官豊臣秀吉と作戦幕僚の黒田官兵衛の三人が登場し、描こうとしている核心は、軍師「黒田官兵衞」の一生であろう。タイトル通り「軍師官兵衛」を主軸に織りなすドラマが展開している。

   このドラマは、制作統括、脚本家、演出家がどの程度当時の軍事組織を研究し、指揮官と幕僚の役割と関係を理解して作ったか知らなが、指揮官と幕僚の生きざまを一般の視聴者がドラマとして理解するにはには分かりやすいようだ。

 

2.ドラマを描く視点

   そこで、ドラマ「軍師官兵衛」の制作責任者はどんな視点で描こうとしているのか、興味があるのでネットで調べてみた。

    制作統括の中村高志氏は、「現在は立派な姫路城が残っていますが、当時は砦に毛が生えたような小さな館で、そこの息子が官兵衛です。」「頭のいい井の中の蛙が、天下統一を成し遂げた豊臣秀吉が最も頼りにした人物になっていく。そこが今回のドラマのおもしろさだと思います。」と述べている。

 また、同氏は、「今なぜ。黒田官兵衛なのか?」について、「織田信長豊臣秀吉徳川家康は誰でも知っている英雄ですが、それら三英傑の裏にどんな人物がいたのか?その裏にいた等身大の人物たちを通じて戦国という時代を描いてみたい。」と述べている。

 ドラマも、制作者の意図を知って観るといろいろなことが見えてきて面白い。

 

3. 資質能力と幾多の錬成

   私がドラマで指揮官と幕僚をどのように描いているのかの視点で見ているのは過去の経験が背景にあるのであろうか。それは航空自衛隊において、かなり長い間人事幕僚として勤務した経験からきているようだ。

 不測事態において、各級指揮官・幕僚がどのように、どれだけ持てる資質能力を発揮したかの視点からじっと見てきたからである。ドラマで黒田官兵衛が成長するにつれ、幾多の不測の事態に直面しながら指揮官・幕僚の資質能力を高めていったのかをどのように描いているかの視点から観ている。

 どの職種・分野でも同じであるが、総じて階級・配置・職務・部下の数など逐次上位のポストに進むにつれ、勤務経歴、経験を重ね次第に重責を遂行し、総合的判断力が向上するものである。

 ここで、重大な事態の発生に対処するにあたって、俗にいう「肝が据わっている」「動じない」「泰然としている」といったことは、かなり持って生まれた素質・天分がかかわっているように感じた。これは私だけのだけの受け止め方であろうか。

 素質のあるものは磨けばさらにも光るし、足りないものは修練努力すれば磨かれ向上するものである。 

 世界の現代の軍隊は、各級指揮官は世襲ではなくそれ相応の資質能力のあるものが選抜されていく。最高の指揮官に上り詰めるまでには、競争と選別により自然淘汰されるのが世の常である。

 戦国の世を生き延びた「軍師黒田官兵衛」の持って生まれた指揮官・幕僚としての素質・天分はどうであったであろうか、成長するにつれてその資質能力をどのように高めていったであろうか。どのように描くか興味津々である。

 織田信長豊臣秀吉などの武将はどうであったかと思ってテレビを見ていたらおちおち居眠りもできなくなるが、ふと居眠りして家内に声をかけられることがある。老兵にとって太平の世であろうか。