1.自治会長の位置付けと立場
私は縁あって組織の会長、代表者になったらその任期間は自分の持てる知識・経験を出し切ってその役目を果たしたいたと思ってきた。
自治会長・町内会長の立場は、総会という公式の場で議決選任されたものである。特に地縁団体の自治会・町内会長は単に任意に選出された意味合いと異なる。
それだけ自治会長・町内会長の位置づけは大きな存在であり、やる気さえあれば、町民の総意をを結集すればかなりのことが できる立場にあるのである。町民からの信任、委任された責任と権限は大きく、重くかつ強いものである。
それをいかに行使して町民のために役立たせるかは本人の使命感・責任感・奉仕の精神にかかっていると思うのは私だけの思いであろうか。
2. 信任された役目を果たす人の存在
その役職についたら、何をやりたいかである。自治会長・町内会長の立場で町民のために何ができるかである。名誉欲といった小さなものでこなせるものではない。
昔のような町の名士的な存在でなく、名誉職では務まらなくなってきた。自治会長・町内会長の仕事量はかなりのものだ。仕事を持ちながら役職をこなすにはかなりハードである。
それを支えているのが、家族の存在であろう。目に見えないが色々な面で家族のバックアップがあって成り立っているものだ。
会社と違い、特別大金の手当が出るわけではない。あまり金銭で換算する人には向かない。社会奉仕、ボランティアであるからである。
3. 地域社会における奉仕活動
地域における自治会長・町内会長等の役目は楽ではないが、長い人生にはこんな時期があってもいいのではないかと思うが人それぞれである。人に勧められ強制されてできるものではない。
お金・報酬が伴わない仕事・役柄であるからこそ値打ちがあり、またやり甲斐があるものである。
いつの時代も、どこの地域、どこの自治会・町内会でも誰かがその役目を果たしている。役目を真面目に果たす人がいるからその自治会・町内会が円滑に運営されている。
役目も特別なケースを除いてわずか数年間のこと、気負うこともなく、淡々と役目を果たす自治会長・町内会長に接する時、人の道を知る思いがするのである。
4.元内閣官房長官の自治会長
かなり前であるが、ある新聞のコラム欄に元内閣官房長官をされた方が自治会長体験記を綴っておられたのを拝見したことがある。
長年の政治の世界を卒業して、ふるさとでくらしているうちに、小さな集落であるため順番で自治会長の役が回ってきて、会長を務めた経験を語っておられた。
どんなに高位高官を務めた方であつて、その社会に住むかぎりそこでのしきたや慣習を尊重して自治会長役をこなされたとのこと。立派なことである。
職業としての縦社会と異なり、自治会・町内会は横社会である。
過去の会社等での地位など全く関係ないところである。地縁社会で求められるのは、本人の持っている知識・経験等をどれだけその集団に役立たせることができるかである。
本当の本人の実力が分かるのが自治会・町内会であり、会長になればその実力が試されるところである。
小さな集団であってもやることは大きな集団と同じようなものであるからだ。その方が誇りを持って自治会長を務められたことを素晴らしいと思った。
私はそのカラムを読んでこの人は本当に尊敬すべき人だと思った。
5. 自衛隊OBの自治会・町内会における活躍
自衛隊を退官し、地域社会でその土地にしっかりと根を下ろして生活し感じたことは、自衛隊OBの多くが、在隊間の職種・階級・地位に関わらず、総じて自治会活動に対して、真面目に取り組んでいることであった。
大抵の場合、順番で隣保班長などをやっていると、働き振りが目立つのか周囲から注目されて部長等になると、更に行事の計画立案・調整・実施に当たって、テキパキと自衛隊式にこなすことから度肝を抜くことになる。
自衛隊OBからすれば、ごく当たり前のことをやっているつもりでも、一般の人から見たら人員の掌握、実員指揮、指示等驚きのまなこで見られるものである。
自衛隊ではごく当たり前のことが世間では、参加人員を掌握するのに時間がかかりモタモタする。
皆に良く聞こえるように適切な指示さえすれば、ちやんと 整列させ確実に短時間に掌握することができる。計画も即座に作ってしまう。こうしたことは曹・下士官以上であれば誰でもできることである。
一事が万事 、こうしたことから自然に周囲から信頼・推選されて自治会長・町内会長になるケースが多いのを見聞してきた。
長年、自衛隊で培った知識・経験が生かされているようだ。在隊間は各段階の教育訓練と厳しい任務遂行を通じての実戦・実践・実務能力が身についてくるからであろう。
総合して、積極性、発想力、企画力、計画力、指揮管理力、実行力が優れていると定評がある。
退官しても自分の住む町・地域社会に少しでも役立てて欲しい。国家が投資した人的資源でもある。知識・経験・能力は活かさないと錆びつき、「宝の持ち腐れ」になっていくものだ。退官後も地域社会に役立つとすれば幸せではなかろうか。